・道歩いていたらですね、若い男女の皆さんが大音量で音楽流しながら、踊りの練習とかしておられるんですよ。路上で。すごく通りにくかったので


「すいません、ちょっと通してもらっていいですか」


 と言ってみると、どいてはくれたんですが、親の仇でも見つけたのかってくらいの形相で睨まれまして、集団で舌うちまでされる始末。しばらくして用事を済ませた私は、「あの人たち、さすがにもういないだろ」と油断して、同じ道を行ってしまったんです。若い男女の皆さんはまだいたんですけど、様子がおかしい。さっきはいなかった中年女性の話に聞き入っています。


 勇気のある中年女性が注意をして、若い男女の皆さんがそれを聞きいれたのかと思いきや、どうも違うみたい。中年のおばさんの言葉に、「聖」だの「光」だの「お清め」だの「祈り」だの「世界平和」だの「終末」だの、ひとつひとつは普通だけれど、集まったらうさんくさくなる単語がたくさん混じってるんですね。中年女性は真剣な表情。若い男女は不安そうな表情。


中年女性「この近くに私たちの施設があるから、続きはそこでするわね。ここじゃ暑いし。さぁ、行きましょう」


 中年女性に付いていく、若い男女の皆さん。陥落しないでね。