.ラーメン屋のカウンター席で昼飯をとっていたら、隣におじいさんと小学生低学年くらいの少年がいました。少年はおじいさんに向って「これがソース」「これが醤油」「これがワリバシ」とあれこれ説明しています。


 何度かこのラーメン屋に来たことがある少年が、はじめて来たおじいさんに解説しているというところでしょうか。おじいさんは本当に嬉しそうにそれを聞いているのです。見ているこっちもほのぼのしてきました。


 そうこうしているうちに2人のところにラーメンが来ました。おじいさんがラーメンを食べ終えると、少年は店員に向って


「替え玉おねがいしますー」


 届いた替え玉をおじいさんのラーメンどんぶりにいれる少年。


「ここは麺のお代りができんねん」


「ありがとうなぁ」


 おじいさんはやはり嬉しそうに替え玉の入ったラーメンを食べました。食べ終わる頃になると、
少年は店員に向って


「替え玉おねがいしますー」


 届いた替え玉をおじいさんのどんぶりへ


「どんどん食べてな」


「あ、ありがとうなぁ」


 おじいさんの顔から笑顔が少し消えました。


「3杯目になるとスープ薄なるから、これ入れたげるわ」


 少年はソースの入った小瓶に手を伸ばし、そして……。お爺さんの顔から笑顔が消えました。完全に。