マルぼんと暮らす


ママさん「色々あって、今日の晩飯はゴハンだけよー」


ヒロシ「オカズなしっすか! せめてふりかけとかかけたいです!」


ママさん「そんなもの、わが家に皆無」


ヒロシ「お茶は!? こうなったらお茶をかけてお茶漬けにして喰う!」


ママさん「ない」


ヒロシ「むきー! カレーとかふりかけとかお茶とか、なんでもいいからゴハンにかけるもの欲しい!」


マルぼん「機密道具でなんかないかな。お、なんか『おかか味』というラベルのついた瓶が」


ヒロシ「『おかか味』ってことは、ふりかけじゃないの。ちょっと貸してよ」


おかか味』をごはんにかけて喰うヒロシ。


マルぼん「あ、それ惚れ薬(おかか味の)だ。服用してから最初に見たものに惚れてしまうぞ」


ヒロシ「美しい、なんて美しい米だ!」


 恍惚とした表情で茶わんに入ったゴハンを見つめるヒロシ。


ヒロシ「あの、あのね、ゴハンさん。ゴハンさんはその、あの、付き合っている男性とかいますのん? い、いや、別にゴハンさんが気になるとかそういうんじゃなくて、その、参考までに聞きたいな、と思って。あの、その、未来の世界から来た不思議な生き物と同居している男ってどう思います? その、参考までに聞きたいなと」


 必死でゴハンの好みのタイプを聞き出そうとするヒロシ。こうしてヒロシはゴハンに鎌をかけることができたのでした。