ルナちゃん「キャー! 野良犬が、ヨダレをダラダラとたらしている『いかにも』ってカンジの野良犬が!」
野良犬「がうがうがうがう!」
ヒロシ「ひょえー野良犬こわいー逃げろー!」
ルナちゃん「キャー! ナウマン象さんが、全裸で斧をもって『いかにも』ってカンジのナウマン象さんが!」
ナウマン象「がうがうがうがう!」
ヒロシ「ひょえーナウマン象こわいー逃げろー!」
ルナちゃん「地球温暖化に大気汚染。日本は長寿国といわれているけれど、私たち子供って、ぶっちゃけ何年くらい生きられるンだろうね。案外、すぐ近くまで迫っているのかもね。死」
死「がうがうがうがう!」
ヒロシ「ひょえー死こわいー逃げろー!」
ヒロシ「まぁ、そんなことがあって、21世紀は我々子供にとって住みにくい時代ということが判明したわけだ。あまりにも危険がおおい。せめて、絶対に安全が保証される空間でもあればいいんだけどな」
マルぼん「『安全地帯』。この帯をつけた人の半径3メートル以内は、いかなる危険もなくなる絶対なる安全地帯になる」
ヒロシ「なるほど。この帯をつけていれば、自分だけではなく周りの人々をも危険から守ることができるんだね。
も、もしかしたら守ってくれた僕にホの字の女の子とか現れたりするかも」
桃色の予感に胸を躍らせたヒロシは、『安全地帯』を腰の辺りにつけると外へと繰り出しました。
ルナちゃん「あ、ヒロシさん。いいところにきたわ! ほら、あそこ! プロレスラーの豚柳さんが」
ヒロシ「豚柳さんだってえ!?」
豚柳さんは微笑町では有名なプロレスラーで、彼に『「がんばれや」と言って頭を殴打されると幸せになる』という言い伝えがあります。既に、微笑町のバカどもが「なぐって」「なぐって」と豚柳さんに群がっています。
ヒロシ「ぼ、僕も殴られたいぞ! あ、でも、『安全地帯』が」
『安全地帯』を身につけているヒロシが豚柳さんに殴打されようなど、夢のまた夢。ヒロシ、なんとか『安全地帯』を外そうとしますが、きつく巻きつけているため、全然外れる気配はありません。ありませんです。
ヒロシ「ああ、このままじゃ豚柳さんがどこかへ行ってしまう。ちくしょう、誰か、誰か僕に力を!」
その時。神の奇跡か仏の慈悲か、『安全地帯』がスルリと解けたではありませんか。『安全地帯』だけでなく、
服も下着もすべて脱げてしまいました勢いで。
ヒロシ「僕を殴って!」
そう叫びながら、生まれたままの姿で豚柳さんのところへと走るヒロシ。
マルぼん「『殴って』と叫びながら裸で疾走。こんな痴態を演じたんだから当たり前だよ」
面会に来たマルぼんに「なんで僕がこんなところにいるのか、その理由がわからない」と言い放ったヒロシ。
そんなヒロシに、マルぼんは上記のようなことを言ってやりました。裸疾走を敢行したヒロシは逮捕され服役中なのです。
ヒロシ「よくよく考えたら、ここには野良犬もナウマン象もいないし、すごく安全だ」
これがホントの『安全痴態』。マルぼんは「安全地帯」の効果は絶大だと思いました。