その後のマルぼんと暮らす


ヒロシ「あ。ルナちゃんに貸したCD(ギャルゲーのサントラ。主題歌のフルバージョン収録。某巨大イベントのメーカーブースでのみ販売されて、ヒロシはなんとかこれをゲット。レアだよレアだよと自慢しているが、これから数日後、市販される)が、返ってきたらなんかえらいことになっていた! 焼けている! それどころか、一部溶けている!」


マルぼん「ああ、ルナちゃんのとこの宗教、最近ね、『不浄なものは燻製にする』『もっと不浄なものはこの際燃やして浄化してしまう』なんて教義ができたらしいんよ。キミのCDはどうやらもっと不浄なものだと認識されたらしいね」


ヒロシ「すばらしいシナリオを大いに盛り上げるすばらしい音楽がたくさん詰まったCDなのに! ちくしょう、あの女性め! ああ、それよりどうしよう。ルナちゃんときたら、頻繁に僕のものを借りていくんだよ。時には勝手に作った合鍵で勝手に家に侵入して勝手に物を持っていくこともある。このままじゃ、僕の私物がどんどん燃やされる!」


マルぼん「『耐熱コーティングスプレー』。このスプレーをかけたものは、どんな熱にも耐えることができるようになる。熱とつくものなら、いかなるものも受けつけなくなる」


ヒロシ「これさえあれば、僕の私物がルナちゃんに持ち去られても大丈夫ですね」


 と、その時ヒロシの携帯電話が鳴り始めました。


ヒロシ「もしもし。ああ、またあなたですか。いい加減しつこいですよ」


マルぼん「今度は誰?」


ヒロシ「またケーサツの人。あいつらしつこいんだ。ほら、窓から外を見てみなよ」


 見なくてもわかります。たくさんの警官&機動隊員たちが、ヒロシの家を取り囲んでいるのです。


 ヒロシが「某ゲームのヒロインを、科学の力で現実世界に誕生させないと、がんばって作ったダイナマイトを爆発させる」と自宅に立てこもってから3日。警察の人が何度も何度も、それはそれは熱心に、熱心に、熱心に、熱心に、「未成年がいつまでも最強と思うなよ」と情熱を込めて説得しても、ヒロシは「パソコン以外の生き物はみんな敵」と耳を貸そうとしませんでした。


ヒロシ「あ。ほら、あそこのビルの上に誰かいるよ。なんか長い筒のようなものを持っているよ。なんだろね。あら、こちらに筒を向けたよ。あれ」


 マルぼんは、情熱も受け付けなくなる「耐熱コーティングスプレー」の効果は絶大だと思いました。