第32話

 地球防衛軍67基地が壊滅し、日本国内には佃煮にするほど存在する平凡な無職青年へと返り咲いた俺。そんな俺のところに、ヨダレがとめどなく流れでてしまいそうなくらい絶好のチャンスが、押しかけ女房な幼なじみかいつのまにかいた義理の妹のように転がり込んできたんです。

宇宙生物シャーブー「アナタには我がンバトロス星警察の地球在留刑事の素質が認められたんですよ。
ンバトロス星の素ン晴らしい科学力が108つも積み込まれたコンバットスーツを着て、
地球の世界平和のために働いてみませんかー」

俺「うへー。そいつはたしかに素ン晴らしい! もちろん引き受けますよ!」

宇宙生物シャーブー「物分りのいい方で大助かりですー。これからは『ンバトロスマン』と名乗ると、マニアックなヒーローもの(朝の子供番組で 五分間だけ放送されているような)みたいで吉ですよー。あ、今、あっしの体内にある非常事態探知機がこれ以上ないくらい反応してます。さっそくですが、初陣ですよ」

俺「OK。で、そのコンバットスーツとやらはどのようにして俺のもとにはせ参じるの?」

宇宙生物シャーブー「コンバットスーツを使う人は、正義に燃えて平和に萌える人でないといけません。まずはありのままの自分を魅せるために人ごみのなかで生れたままの姿になり、『いかに自分が平和を望むか。いかに自分が人類を愛しているか』を道行く人々に清らかな声で語り、『ああ、この人は正義のために戦っているんだな』と納得させてください。『ああ、この人は人々に信頼されているんだな』とンバトロス星警察コンバットスーツ転送部が認識したら、あなたのもとにコンバットスーツが転送されます」

 俺がヒーローとした輝いた季節は、あまりにも切なく、そして儚かった。