29話

立河「ついに『地獄極楽テレビ』の前に到着したぞ。全員いるかー」
アナコンダ「司令官! コンドルソード隊員がおなかを壊して欠席です!」
アントワネット「司令官! エクスカリバー隊員がおばあちゃんの調子が悪いそうで早退です!」
ジョン吉「司令官! 不死身のキヨシ隊員がくる途中に車にはねられ、病院で…」
立河「むう。全員揃いそうもないな。メガネ、全部で何人集まった?」
メガネ「764人でヤンス」

「出撃したときより増えてます」というツッコミを、俺はしなかった。

立河「もうどうでもいいや。それ、いるヤツだけで突入だ!」

いっせいに局内に侵入する隊員たち。すっかりその他大勢の一員になった俺も、とりあえず続いて突入した。『24年間テレビ』の会場では、番組が普通に続いていた。黄色いシャツを着た司会らしき男とアシスタントらしき女が、着々とコーナーを進めていく。

司会「はい。続いては、パラダイス町の色々な人に来てもらい、募金を頂戴する『パラダイス町のあの人の愛この人の愛』のコーナーです」
アシスタント「今回はパラダイス町で代々続く酒屋さんの4代目・原貝肝蔵(ゲンカイカンゾウ)さんです」
原貝「こんにちは」
アシスタント「原貝さんは昭和46年に生れ(つまらない人生のあらすじが続くのでカット)」
司会「では原貝さん、いくら募金を頂戴できますか」
原貝「えっと。なんとなく余った小銭を少しづつ入れた貯金箱を持ってきましたので、これを」
アシスタント「えー。やーすーい。やーすーすーぎー」
原貝「え」
司会「原貝さーん。募金はね、あなたがどれだけ世界を愛しているかどうかを示すパラメーターですよー。もっとガーンといかなきゃ、ガーンと」
原貝「そ、そう言われましても」
アシスタント「原貝さん。あそこで、今まさに火あぶりにされつつある子供、誰だか分かります?」
子供「お父さん助けて!」
原貝「じ、仁蔵!? 仁蔵!?」
司会「息子さんの命は欲しかったら、もっと募金してほしいなー。具体的に言うと、全財産くらい」
原貝「な、なんだって!?」
アシスタント「点火点火」
原貝「わ、わかった! 全財産差し出す。差し出すよ!」
司会「はい、溢れんばかりの愛をありがとうございます」
俺「ゲゲーッ! いつになく凶悪な敵ー!」