ローソンのハッシュドポテトが好きで、ひところは「死んだら飢餓地獄確定!」みたいな食い方をしていたんですが、近場のローソンがだんだん取り扱わなくなってしまい、食べることができなくなってしまったのが結構前のこと。


 しばらくは食べたくて食べたくして発狂しそうな勢いで、私とハッシュドポテトを引き離した邪悪な運命に立ち向かいそうになるくらいくらい荒れていたのですが、時がたつにつれてやがて心穏やかになり「あんな油っこいものを食べていたことがおかしかったんだ」との考えに至り、草木を愛し動物と戯れる優しい毎日が続いていました。


 そんな毎日をぶち壊し、ジャガイモ渦巻く冥府魔道へと私を連れ戻したのは職場の近くに新しくできたローソン。仕事の帰りにふらりと立ち寄ったところ、「ハッシュドポテト 70円」が1つあるのを発見してしまったのです。このローソンにはある! ハッシュドポテトが! さっそく注文しようしたのですが、私より先に注文した人がいて食べることはかないませんでした。


 穏やかだった心はどこかへ飛んで消えてしまい、もうハッシュドポテトのことしか考えられなくなった私。さっそく今日、残業もしない終業時間とともに職場を飛び出し、ローソンへ。


 ハッシュドポテトは……あった! 6つもある! レジには2人ほど並んでいましたが、6つもあればさすがに……


ハッシュドポテト。6つください」


 全部よこせと、並んでいた客の1人が言いました。よく見ると、昨日私より先に注文した人! 注文した。6つも。6つも。6つも! 家族のお土産にでもするのかと思いきや、この人、店の外ですごい勢いでハッシュドポテトを食べつくしておられました。恐ろしいその姿。


 修羅だ。ハッシュドポテトの修羅だ。私なんかが敵う相手じゃなかったんだ。ハッシュドポテトへの情熱がみるみる失われていくのを自覚した私は、とぼとぼと帰路についたのでありました。