職場の近くにため池のようなものがあります。雨が降ったら潤うけれど、晴れが1週間も続いたら枯れてしまう、とても儚いため池です。


 このため池の前を同僚が通りかかったところ、けっこうな数の金魚が泳いでいたそうです。この近くで縁日があり、その時に来た業者が売れ残りを捨てていった模様。


 雨が続いたため、今のところ水量は豊富にあるものの、最近は晴ればかり。池が枯れるのは時間の問題です。水が枯れたら、金魚たちも当然死にます。死ぬとわかっている生き物を助けないのもきまりが悪いと思った同僚は、私を含めた職場の者数名に「仕事が終わったら、金魚を助けにいかないか?」と提案。私たちはその案に賛成し、仕事が終わったあと、網やバケツを持ち寄って、例のため池へ行きました。


同僚「金魚は、水が枯れない河にでも逃がしてやろう」


 我々が到着すると、先客がいました。麦わら帽子を被ったおじいさんが、手際よく金魚を網でとり、バケツにいれています。数個あったバケツは、どれも金魚でいっぱいになっていました。


おじいさん「このままだと、水が枯れて死んでまうからねえ」


 金魚救出作戦は、私たちの知らぬところで発動し、そして終了していたのです。ともかく、金魚が助かってよかったよかった。


同僚「ところで、金魚はどうするんですか」


おじいさん「家で飼っているザリガニの餌にする」