マルぼんと暮らす マルぼんVS夜の帝王の巻


 マルぼんとヒロシが部屋でゴロゴロしていると、部屋の片隅からカサカサという音が。音のしたほうを見てみると


ヒロシ「ゴキブリだ!」


 ヒロシはとっさに『どこの国で製造されたかよくわからないけど、とにかく速攻でゴキブリの絶命させてしまう殺虫剤。使った場所に近づくと、不思議と頭がクラクラしてくる』を手に取り、ゴキブリに吹きかけました。しかしヤツは死にません。ぴんぴんしています。ぴんぴん。今度はスリッパで叩き潰そうとしますが、叩いてもぴんぴんしています。


マルぼん「あ、こいつ、未来の世界のゴキブリだ! マルぼんが21世紀と未来の世界を行き来している間に、いつの間にかついてきてたんだ! 未来の世界のゴキブリともなると、かなり進化していて21世紀の殺虫剤程度では倒せないぞ! 防御力もあがっているから、スリッパでも無理だ!」


ヒロシ「未来の世界の殺虫剤とかはないの!?」


マルぼん「今、切らしていて……あ、そうだ。こいつがあった。『未来の世界体験機』。5分間だけ、マルぼんたちの育った未来の世界のあらゆることを体験できる機密道具なの」


 たとえばこの道具に「未来の世界にある調理器具を使ってみたい」と入力すれば、家にある調理器具が5分間だけ、未来の世界の調理器具と同等の性能になります。なんの変哲もない炊飯器も、5分間、未来の世界の炊飯器には標準装備されている『まずい飯を炊いてしまったら恥を忍んで自爆する』という機能がつきます。こんな具合です。


マルぼん「『未来の世界体験機』を使えば、この殺虫剤未来の世界のそれら同等の力を持つわけだ。5分間でゴキブリを殺そう!」


ヒロシ「殺虫剤だけじゃ不安だ、スリッパも一緒に頼むよ」


マルぼん「未来の世界においても、スリッパは殺虫剤と並ぶ、対ゴキブリ用のポピュラーな武器のひとつ。消費者のニーズに答えて、対ゴキブリ用に、叩いたときの攻撃力が強化されているスリッパもあるから、いけるかもしれないね」

 
 マルぼんは早速、『未来の世界体験機』に、「未来の世界のゴキブリを殺せるアイテムを使ってみたい」と入力しました。これでヒロシ宅にある殺虫剤もスリッパもパワーアップ。マルぼんとヒロシは、殺虫剤やスリッパを持ってゴキブリを探し始めました。ヤツめ、どこかに隠れこんでしまったのです。


ヒロシ「部屋の外へ逃げたのかもしれない。ちょっと探してくる」


 部屋をでたヒロシがトイレの前にくると、用を終えたらしいパパさんが中からでてくるところでした。中で本を読む癖があるパパさんは、雑誌を手にしていました。


パパさん「また遊んでいるのか、ヒロシ。少しは勉強でもしたらどうだ」


ヒロシ「あとでやるよぉ」


パパさん「ほんとうかぁ」


ヒロシ「本当だよ。あとでやるよ。お父さんと一緒に」


パパさん「ははは、こいつめ」


 ちょっと戒めてやるつもりらしいパパさん。雑誌を丸めて棒のようにすると、ヒロシの頭を軽く叩きました。ふざけ半分で、かる〜く。ポン、っと。





『本当です。本当に、丸めた雑誌で軽く叩いただけなんです。え? 「丸めた雑誌であんなにことになるはずがない」ですって? それは私もわかります。でもなったんです。あんな風になっちゃったんです! 信じてください、刑事さん!』。


 わが子を、鈍器のようなもので殴ったとして逮捕された男性は、警察の取り調べに対して意味不明な供述を繰り返しているそうです。


 話は変わりますが、未来の世界で殺虫剤やスリッパと並んび、よく使われいてる武器のひとつに、『棒状に丸めた雑誌や新聞紙』があります。消費者のニーズに答えて、対ゴキブリ用に、棒状に丸めて叩いたときの攻撃力が強化されている雑誌や新聞紙も多いのです。その攻撃力は、軽く叩く程度でスイカくらいなら容易に潰せるほどだとか。


 マルぼんは『未来の世界体験機』の効果は絶大だと思いました。