マルぼんと暮らす 京都コケティッシュ天狗伝説連続殺人事件(事件編)


マルぼん「おや、なんだかずいぶん顔がテカっているぞ、ヒロシ。すげえギラギラしている」


ヒロシ「そう? 学校でも『おやおや、ずいぶんとあぶらぎった顔ですねえ。お盛んなこって(笑)』と言われたんだ。気にしちゃうなぁ」


マルぼん「ここに『なぜか永遠に使えるあぶら取り紙』があるよ。これをあげよう」


ヒロシ「わーい」

 
 ヒロシ、与えられた『なぜか永遠に使えるあぶら取り紙』で顔を拭きまくります。これでもかっ、これでもかっ。何度も何度も拭いています。何度も何度も。そう、言うなれば、終わらない輪舞曲。まわれまわれメリーゴーランド。


マルぼん「おい、そんなに拭いたら、取れなくてもいいあぶら分まで取れてしまうぞ、おい」


ヒロシ「うるせえ、僕はあぶらぎった顔をなんとかしてさわやか人間へと変貌を遂げるんだい!」


マルぼん「よせヒロシ」


ヒロシ「くけー!!」


 マルぼんの静止を振り切り、さらに何度も何度も顔を拭きまくるヒロシ。そして数時間後。


ヒロシ「なんだろう。心に青空が広がっている気がする」


 ヒロシは憑き物がおちたかのようにさっぱりとした顔になっていました。その澄み切った眼。


ヒロシ「空よ、海よ、大地よ、宇宙よ、ありがとうー」


マルぼん「ヒ、ヒロシ、おまえ」


 なんということでしょう「なぜか永遠に使えるあぶら取り紙」は、ヒロシの顔のテカりだけでなく、その心の奥にあった、男なら誰でも持っているであろう、野望という名のギラギラしたものまで取り去ってしまったのです。


ヒロシ「父にありがとう、母にありがとう、そしてみなさんにありがとう」


 ギラギラしたものを失くしたヒロシは、温和な表情でニコニコしています。その姿はまるで聖人のよう。町を歩くと、野良犬や野良猫、野鳥、野良人間、鹿や羊、牛、虎、鯨、カエルや蝶、様々な生き物がやってきて、ヒロシに寄り添います。


おじいさん「ありゃ、名のある聖人にちがいねえ」


 いつしかヒロシ宅の前には、ヒロシに魅せられた人々がお供えをするようになっていました。


ルナちゃん「おのれヒロシさんめ。私という某新興宗教の信者キャラが近くにいながら、自らキャラを被らせてくるとわ〜」


                                                  つづく