マルぼんと暮らす


 金歯の家へ遊びに行ったマルぼんとヒロシ。金歯は庭の池にいる鯉に餌をやっていたのですが、よく見るとその餌は。


ヒロシ「一円玉じゃないか!」


金歯「朕の家の鯉は硬貨しか食べないのでおじゃる。一番の好きなのが一円玉なんで安上がりでおじゃる」


ヒロシ「もったいない!」


金歯「たがか一円でおじゃるよ」


ヒロシ「一円を笑うものは一円に泣く、とか言うだろ!」


金歯「ほう、最近は泣きゲーにも飽きていたところでおじゃる。泣かしてもらうじゃないかでおじゃる」


マルぼん「『コトバニデクナイ』。このクナイでなんでもいいから刺す。すると、刺したものに関する泣けるエピソードが起こる」


ヒロシ「これで一円玉を刺したら、一円玉に関する泣けるエピソードが」


金歯「どんなことがあろうとも、朕は一円では泣かない自信があるでおじゃる。笑ってやるでおじゃる」


執事「坊ちゃまたいへんです! 色々あって、金歯コンツェルン関係の会社全部倒産です」


金歯「な、なんだってー!


執事「坊ちゃまは一文無しです! 私もおヒマをいただきます。坊ちゃまの所持品はいただきますね、退職金の足しにでもします」

 
 身包みはがれる金歯。残ったのは、『コトバニデクナイ』で刺した一円玉のみ。


金歯「……」


ヒロシ「これはさすがに泣くんでないかい」


金歯「あひゃ、あひゃひゃひゃひゃひゃ!」


 突然、意味のわからない笑い声をあげ、踊り始める金歯。その目は焦点があっていませんでした。


マルぼん「むう、予告どおり泣かずに笑うとは、金歯恐るべし」