マルぼんとクラース
ヒロシ「ちくしょうちくしょう、ナウマン象め」
ナウマン象にいじめられたヒロシ。ナウマン象本人にその憎しみをぶつけることもできず、枕をボスボス殴って憂さ晴らし。
ヒロシ「ちくしょう枕に憎しみをぶつけても憂さ晴らしにならねえ」
マルぼん「かといって、本物のナウマン象に直接にくしみをぶつける勇気もないしね。そんな臆病者の貴様に朗報。ここにナウマン象の毛があるんだけど、この毛を枕に入れてごらん」
ヒロシ「入れたよ」
マルぼん「よろしい。その枕は実は『あんちくしょく枕』という機密道具。爪とか毛とか、憎しみをぶつけたい相手の体の一部を入れたら、その相手と枕がリンクする。枕を叩けば相手は苦しむ。枕に悪口を言えば相手がへこむ。さぁ、やってごらん」
ヒロシ「(枕にむかって)地球のゴミ!」
マルぼん「ナウマン象の家は隠しカメラで絶えず監視してある。このモニターを通してその様子も窺える」
モニターに「なんだか知らないけどヒロシに悪口を言われているような気がする。くやしい!」と苦しんでいるナウマン象が映っています。
ボスボスと枕を殴るヒロシ。
モニターに「痛い痛い! たすけて!」と苦しんでいるナウマン象が映っています。
ヒロシ「あははは愉快愉快。よい憂さ晴らしになったよ」
マルぼん「それはよかったよかった。さぁ、夜もおそい。とっとと寝ようぜ」
ヒロシ「そうだねえ。お休みー」
憂さが晴れたおかげでしょうか、ヒロシは生まれたままの姿のルナちゃんがでてくる夢をみました。「うへへへ、ルナちゃん、ルナちゃーん」。寝ぼけて枕を抱きしめるヒロシ。
翌朝。
ママさん「ヒロシ、ナウマン象さんが来たわよ」
ヒロシ「なんだこんな早くに」
ヒロシがナウマン象に応対します。ナウマン象、弁当箱をヒロシに差し出します。
ナウマン象「ちょ、ちょっと作りすぎたから、おまえにやるよ。か、かんちがいするなよ、本当に作りすぎただけなんだからな!」
ナウマン象の顔は、なぜか赤面していました。ナウマン象の眼は、なぜか潤んでいました。マルぼんは「あんちくしょう枕」の効果は絶大だと思いました。