マルぼんと暮らす


 ヒロシが家で漫画読んだりパソコン内美少女と恋したりしていると、見知らぬ裸のおっさんがいきなり部屋に入ってきてヒロシに向かって「今夜は遅くなる!」と怒鳴りました。おっさんはそのまま出て行きましたが、ヒロシはなにがなんだかわかりません。


ヒロシ「ごめんなさいごめんない。今までの僕の人生はお世辞にも褒められたものじゃない。あの裸のおっさんは、褒められない人生を送る僕を罰するために、大いなる意志がつかわした刺客にちがいないんだ。ガタガタブルブル」


 なにがなんだかわからなさすぎて、自身の頭がなにがなんだかわからなくなってしまったヒロシは、恐怖に駆られ、毛布を被って部屋の隅に座り込んでガタガタ震えています。帰宅したマルぼん、それを見てお笑い。


マルぼん「大いなる意志のつかわした刺客なものかい。あれは単なるマルぼんのメッセンジャーだよ」


ヒロシ「めっせんじゃー?」


マルぼん「こいつをつかったのさ。『メッセンジャー切手』」


 この切手は、どんな人でもメッセンジャーにしてしまう機密道具。この切手を貼った人に
『メッセージの内容』『メッセージを伝える相手』を教えると、その人はメッセンジャーと化し、どんなことがあろうともメッセージを伝えてくれるのです。(1枚につき1回)


マルぼん「大学の時の友人とばったりあって急に飲みに行くことになってさ、帰りが遅くなりそうだったんだ。それを君に連絡しようにも携帯電話を持ってなくて。んで、たまたま現れた痴漢に切手を貼ってメッセンジャーになってもらったのさ」


ヒロシ「なるほど。しかしおもしろそうな切手だね。ちょっと貸してごらんよ」


 ヒロシはマルぼんから『メッセンジャー切手』をふんだくると、外へと飛び出していきました。


ヒロシ「こいつは色々遊べそうだぜ。うふふふふ」


 切手をもってニタニタ笑うヒロシ。


ヒロシ「さて、まずはなにをしてやろうかな。そうだ、ためしに自分に貼ってみるか」


魔法少女のコスプレをしたおっさん「おい貴様、ナウマン象の知り合いだな」


ヒロシ「そうですけど、どちらさま?」


魔法少女のコスプレをしたおっさん「(持っていた魔法のステッキらしき棒状のものを振り上げて)アパレルアパレル貴様よカエルになあれ!」


ヒロシ「ひょえー!!」


 おっさんが不思議な呪文を唱えるとあら不思議、ヒロシはカエルになってしまいました。おっさんはカエルヒロシをむんずと掴むと、ナウマン象の家に放り投げました。


金歯「わぁ、なんでおじゃるか!? カエル!?」


ナウマン象「こいつは……魔法でカエルにかえられたヒロシだ!」


金歯「なんだってぇ!? でおじゃる」


ナウマン象「こんなことをできるのはまちがいない、やつだ。この世でただ一人、男性なのに魔法少女と呼ばれる魔法使い、山田三百斎!」


金歯「その魔法使いが、なんでヒロシをカエルに変えてナウマン象の家へと投げ込むのでおじゃる」


ナウマン象「知り合いをカエルに変えることで、俺に宣戦布告をしたのだろう。『ナウマン象、俺はおまえを殺す。このカエルよりも醜いものに変えてから殺す』と」


金歯「なぜそんなことを……って、ああ!?」

 
 いきなりナウマン象が縦に割れました。割れたナウマン象の中からでてきたのは、一人の女でした。


ナウマン象「山田三百歳は、かつて俺が……いえ、あたしが師と仰いだ男。あるときは師と弟子、あるときは父と娘、あるときは兄と妹、あるときは男と女、そして今は、たがいの命を狙いあう宿敵同士」


 マルぼんは、ヒロシ自体をメッセンジャーにしてしまった『メッセンジャー切手』の効果は絶大だと思いました。