マルぼんと暮らす


 マルぼんが家に帰ると、生まれたままの姿……日本語で言うと全裸状態のヒロシが鏡に映った自分自身にむかって「醜い豚め」「この醜い豚め」「なんという醜い豚」「わぁ! 醜い豚」とか言っていました。


マルぼん「いったいぜんたいなにごとなのでしょうか」


ヒロシ「あまりにダメ極まりない自分に嫌気がさしたので、第三者のような立場で自身を罵っていたんだ」


マルぼん「たしかにキミは、人の2倍食べ、人の半分しか働かない人間だけど、まぁ、しょうがないじゃないか」


ヒロシ「僕のような人間は死ぬべきなんだ」


マルぼん「もう少し自分に自信を持てよ。そうだ、これを使えばいい。『自信まん』。一見単なるまんじゅうだけれど、食べたら、自信が結果に結びつくようになる」


 たとえば、試験なんかの時「試験なんか楽勝だぜ。楽勝に間違いないぜ」という気持ちで臨めば、良い点数が取れるのです。ケンカのときも、「俺は無敵。無敵に間違いないぜ」なんて気持ちで臨めば、必ず勝てるわけです。


マルぼん「自信があればあるほど、結果も良くなるのさ」


ヒロシ「よ、よし、こいつを食べれば僕だって」


『自信まん』を食べるヒロシ。と、そのとき


ママさん「ヒロシィ!」


 青龍刀を持ったママさんが、突然部屋に入ってきました。ヒロシに向かって青龍刀を振り上げるママさん。


ヒロシ「ひぃ! (すごい刀だ! あんなので斬られたら、もしも斬られたら、僕はどうなっちゃうんだろう。死ぬ。死ぬにちがいない。斬られたら死ぬに違いないー! 死ぬ、斬られたらぜったいに死ぬぅ! 死ぬー! 死ぬにちがいないー!!)」


ママさん「なーんちゃって! びっくりした? ほら、ヒロくんの欲しがっていた、玩具の青龍刀よ! え、あれ、あれれ! ヒロくんってば冷たくなっている!」


 マルぼんは『自信まん』の効果は絶大だと思いました。