マルぼんと暮らす


ルナちゃん「さぁ、今日も昼間から人様の家に押しかけて、冊子を無理矢理渡し、我がギュルペペ教のすばらしさを語っちゃうわよー」


ヒロシ「おーい、ルナちゃーん」


ルナちゃん「あらヒロシさん」


ヒロシ「うちの地下におもしろいものができたんだ。遊びに来ない?」


ルナちゃん「(遊びに行くついでにマインドコントールでもやったるか)いくいくー」


 そんなわけでルナちゃんはヒロシの家へ。


ヒロシ「おもしろいものへは庭から入るんだ」


ルナちゃん「これは……洞窟?」


 ヒロシ宅の庭には大きな穴が開いていて、その穴に入るとそこには巨大な洞窟があるではありませんか。


マルぼん「ダンジョンだよ。『ダンジョンメーカー』という機密道具で作ったの」


ヒロシ「このダンジョンにはモンスターが出る。宝箱もある。ちょっとした冒険が楽しめるというわけさ」


ルナちゃん「あらホント、なんか刃物を持った小鬼がこちらへ駆けてくるわ。あれがモンスターね」


 小鬼、刃物でルナちゃんに切りかかります。切断され、宙を舞うルナちゃんの左腕。


ルナちゃん「きゃー! うでがー!」


マルぼん「安心めされい。このポーションを飲むとHPが回復します」


 ポーションを飲むルナちゃん。切断面から新しい左腕がニョキニョキと生えてきました。


マルぼん「これは洞窟で手に入れたんだ。宝箱などから手に入れたアイテムは、本当に使用することができるのさ」


ルナちゃん「新しい腕が生えたのはいいけど、切り落とされた旧左腕はどうしようかしら」


マルぼん「マニアにでも売りなよ」


ヒロシ「ぎゃー!」


ルナちゃん「あ、ヒロシさんが小鬼に首を切断された!」


マルぼん「大丈夫、死んだ人を生き返らせる薬もあるから」


 薬を飲まされたヒロシの首から、新しい胴体がニョキニョキと生えてきました。


ヒロシ「復活したのはいいけど、旧胴体はどうしよう」


マルぼん「マニアにでも売ればいいさ」


ルナちゃん(あの薬、使えるわ。あいつを使って、人々の前で切断した腕やら足やらを生やしたら、楽々に人身掌握。信者大量ゲットで、ホーリネームもグレードの高い位も思うまま!)


 ルナちゃんはポーションや生き返らせる薬を懐にしまいこむと、黙ってダンジョンを出ました。小鬼と戦うのに夢中のヒロシとマルぼんは気づきませんでした。


ヒロシ「ふう。なんとか小鬼を倒したぞ!」


マルぼん「お。小鬼のやつ、宝箱を落としたぞ。中身は……武器だ。大量が満タンのときに使うとビームがでるナイフだ」


ヒロシ「ちょうどいいや、こいつで憎いナウマン象を……」


マルぼん「それならナウマン象をここに呼び出さないと。前も話したけど、ダンジョンで手に入れたアイテムはそのダンジョンでしか効果を発揮しないんだぜ」


 新学期。ルナちゃんは登校してきませんでした。なんでも入院しているとか。