マルぼんと暮らす


マ交霊カルキン「霊媒師に有名人の霊を呼び寄せていただいて、歴史の裏話を聞きまくろうという新感覚の番組『いたこでCHU!』、今宵もはじまりました。司会のマ交霊カルキンです」


霊媒師「霊を呼び寄せる霊媒師です。今日呼び寄せるのは、豊臣秀吉さんですよ」


マ交霊カルキン「わぁ。太閤さんですか。それは楽しみ。ではさっそくお願いします」


霊媒師「こんばんは、豊臣秀吉です」


マ交霊カルキン「はじめまして! 太閤殿下! さっそくなんですが質問です。天下統一を成し得た一番の理由はなんでしょうか」


霊媒師改め豊臣秀吉「それはもちろん俺の才能、といいたいところですが、影に日向に俺を助けてくれた部下や仲間たちですかね。特に弟の小一郎。ヤツにはかなり助けれたねえ」


マ交霊カルキン「なるほどなるほど。天下統一を支えていたのは、頼れる仲間たちというわけなんですねえ」


                          *


マルぼん「おいヒロシ、そんなくだらねえ番組みるなよ」


ヒロシ「死ぬ」


マルぼん「は?」


ヒロシ「死ぬ! 小一郎みたいな、僕を影に日向に支えてくれるサポート役をだしてくれなきゃ、死ぬ!」


マルぼん「はぁ?」


ヒロシ「この番組を観て理解したんだ。僕の人生がパッとしないのは、僕を支えてくれる頼れる仲間がいないからだ! サポート役だしてえ! 出さないとしぬぅ!」


マルぼん「仕方がないなぁ。こいつに頼ろう、機密道具『ササエサン』!」


ササエサン「ササエデゴザイマース!」


マルぼん「こいつは一見、なんの変哲もない女性ロボだけど、実は持ち主をあらゆる面でサポートし、支えとなってくれるロボなんだ」


ヒロシ「そいつはすごいや」


ササエサン「ササエデゴザイマース!」


ヒロシ「ちょっと僕、お茶でも用意してくるね」


 台所でお茶を用意したヒロシが部屋に戻ると、そこには。


ヒロシ「マルぼん! どうしたんだ、マルぼん!」


 血の海のなかで息絶えているマルぼんの姿。ササエサンの姿もありません。


ヒロシ「いったい誰がこんなことを。おや、血で文字が書いてある! ダイイングメッセージだ! なになに……」


 以下、赤文字がマルぼんのダイイングメッセージ。


 
 チャオ! ヒロシくん、お元気ですか? マルぼんは死にかけです。あのね、えっとね、ヒロシがお茶を用意しようと部屋を出た直後ね、ササエサンのやつが突然ね、バールのようなものでマルぼんに殴りかかってきたの。マルぼん、必死で抵抗しましたが無理でした。なはははは。犯行目的はマルぼんの貯金。あいつ、マルぼんの貯金を奪って、それを元手にさらに儲けようって寸法らしい、くやしー! あ、今、河見えた、河! いやはや、本当に見えるもんなんだね。そろそろ意識も朦朧としてきましたので、逝きます。また来世。でわでわ〜。


ヒロシ「おのれササエサン、マルぼんを殺しやがって! 必ずや探し出して、敵をとってくれる!」


 さっきまで「死ぬ」とか言っていたヒロシですが、もうそんな気持ちはありません。絶対にマルぼんの敵をとる。敵をとるまで、殺されたって死ぬもんか。マルぼんは、ヒロシの生きる支えになった『ササエサン』の効果は絶大だと思いました。