もうマルぼんとは暮らせない。そんな資格、あたいにはない……


ナウマン象「おのれ人間どもーおのれ人間どもー」


ヒロシ「わー! ナウマン象がまた暴れているよ! この時期になると、メスのナウマン象を求めて荒れるんだ、あいつは!」


ナウマン象「ヒロシは全人類の業を背負って死ね」


ヒロシ「わー! ナウマン象が鈍器のようなものをいままさに振り下ろさんとしているよ、この僕に!」


マルぼん「ヒロシあぶなーい、この銃……は時節柄マズイんで、この鎌でナウマン象を斬っちまいな! キッチマイナー!」


 ヒロシは襲いくるナウマン象に鎌で斬りつけましたが、ナウマン象には傷ひとつつきません


マルぼん「ナウマン象はボスキャラだから、当たり判定が厳しいんだ! ダメージを与えられる場所は限られているから、うまくそこを斬りつけろ!」


ヒロシ「えい、えい」


 ひたすら鎌でナウマン象に斬りつけるヒロシでしたが、ダメージを与えられる部分は本当にわずかなようで、ナウマン象はぴんぴんしています。


ナウマン象「うがーうがー」


ヒロシ「ダメージが与えられないよ! マルぼん、なんとかしておくれ!」


マルぼん「仕方ない、この『当たり判定装置』を鎌につけろ。この装置を武器につけると『敵にダメージを与えられる場所』を確実に見つけ出し、自動的に攻撃を加えてくれるようになる」


 ヒロシ、マルぼんに渡された装置を鎌につけました。


ヒロシ「こいや、こいやー!」


 ナウマン象に鎌で切りかかるヒロシ。しかし次の瞬間、ヒロシの体から血しぶきが。自動的に動いた鎌はヒロシを斬っていたのです。倒れるヒロシ。


ナウマン象「ヒロシ!」


 倒れたヒロシを抱きかかえるナウマン象。その瞳には光るものが……


ナウマン象「ヒロシ、逝くな! 逝くなヒロシ!」


 暴力の代名詞と呼ばれるナウマン象。いつのまにかいじめの対象であるヒロシに友情のようなものを感じていて、それは本人が思っていたよりも深く心に根付いていたようです。


ナウマン象「ヒロシィィィィィィィィィ!」


 マルぼんは、ナウマン象の心にダメージを与えた『当たり判定装置』の効果は絶大だと思いました。