その後のマルぼんと暮らす

　家に帰ってくるなり、ヒロシがマルぼんに泣きついてきました。

ヒロシ「今日は愛読している漫画『虫けら太夫』の単行本第４４巻の発売日だぞ。本屋急がねば」

ナウマン象「おう、ヒロシ」

ヒロシ「なんだ、ナウマン象じゃないか。なんのようさ」

ナウマン象「ほら、これを見ろ！ おまえの嫌いな死体解剖写真だ」

ヒロシ「ひょえー！！」

ヒロシ「上記のようなことがあって、ナウマン象がいきなり見せてきた猫の死骸に、僕は気を失ってしまうほどビックリさせられたんだ」

マルぼん「たちの悪いいたずらだなあ」

ヒロシ「僕もナウマン象の野郎を、泡ふくくらいビックリさせて復讐を遂げたいよ。なにかいい機密道具はない？」

マルぼん「あるよ。『魔法のビックリ箱』。この箱を開けると中から、箱の前に立っている人間がこの世で一番ビックリするものがでてくる。こいつをナウマン象の前で開けて、ヤツを死ぬほどびっくりさせてやろう」

　そんなわけで、マルぼんとヒロシは『魔法のビックリ箱』を持ってナウマン象の家へ。

ナウマン象「な、なんだよ。マルぼんか」

マルぼん「この箱はキミへのプレゼントだよ」

ヒロシ「とくと中身をごらんアレ！」

　マルぼんは『魔法のビックリ箱』をナウマン象の前で開けました。

ナウマン象「ぎゃー！！」

　箱の中から飛び出してきた……ヒロシにおそろしいほどそっくりな人形を見て、驚きのあまり卒倒するナウマン象。

マルぼん「？？？ なんでナウマン象のこの世で一番ビックリするものがヒロシなんだ」

ナウマン象「成仏してくれ、成仏してくれよ、ヒロシ！」

　錯乱したのか、ヒロシ人形に向かってひたすら手を合わせるナウマン象。

ナウマン象「あんなにビックリするとは思わなかったんだ！ ビックリしすぎて転ぶとは思わなかったんだ！ 転んだ拍子にアスファルトにしこたま頭をぶつけるとは思わなかったんだ！ 頭をぶつけたくらいで……死ぬとは思わなかったんだ！ たのむから呪わないで……成仏してくれえ！」

マルぼん「おいおい、ヒロシが死んだって、なんの冗談さ。現にヒロシはここに」

　マルぼんの横に立っていたはずのヒロシは、いつの間にか姿を消していました。家に帰ると、町内の救急指定病院から「すぐに来て欲しい」という電話がありました。