「密着3ヵ月! 新人警官ドタバタ初勤務!」改め「キャハ♪ 忍者とサラリーマンだらけの巡礼の旅!」6話

前回


「いやー全てを思い出したござるよーニンニン」


「一時はどうなることかと思ったよ、よかった。本当によかった」


 癒しの旅から帰還した、ツブテと権田哲郎のおとうさん。権田哲郎とおかさんを含めた4人で、食卓を囲んでいます。一連の騒動で思春期らしさをすっかり忘れてしまった権田哲郎は、生まれたての子犬のように素直な気分で


「しかしよくもまぁ、失われた記憶を取り戻せたよね」


 と、言っています。


「そうでござるよ、ニンニン。過酷だったけど、充実した旅でござったよ」


ファンファンファンファンファン←回想シーンにはいる音


ナウマン象「ねえ、見てみて! あのお店!」


金歯「ガラスでできた工芸品のお店でおじゃるな」


ナウマン象「ねえ、金歯ぁ」


金歯「見ていくでおじゃるか」


ナウマン象「うれしい!」


ヒロシ「ねえ、彼らはなんで腕など組んで歩いているの? 心から『気持ち悪い』と言いたいんだけど」


マルぼん「友情のなせる技さ。もしくは前世の報い」


ナウマン象「きゃー♪ みてみて、これ! ガラスで作られたウサギさん!」


金歯「ナウマン象みたいにかわいいでおじゃるな」


ナウマン象「もう! やだー! ホントのことばかりいってー!」


金歯「あははははは」


ナウマン象「あたし、このウサギさんほしいー」


店員「あいすいません。こいつは現品限りの品で、お譲りできないのであります」


ナウマン象「ほしいほしいほしいほしい〜!」


金歯「お安い御用でおじゃる。おい、そこのマルぼん」


マルぼん「ガラス工芸品が手に入る機密道具? そんなものはないな。その代わり、これを使ったらどうだろう。『材質変化銃』。この銃で撃たれたものは、材質が変化する。変化する材質は、撃った人が自由に選べるんだ。当然、ガラスにも変化させることができるから、本物のウサギをガラスに変化させればいいんだ」


ナウマン象「きゃっ♪ 素敵な機密道具!」


金歯「なんだ、この機密道具」


ナウマン象「え、素敵な機密道具じゃないの」


金歯「どこがだよ。センス狂っているでおじゃるな」


ナウマン象「うきーなんですって! その口が、私への愛の言葉をつむいだその口が、あたしをバカにするのー!」


ヒロシ「おいおい、2人とも。そんな些細なことでケンカするのはよせよ」


ナウマン象「おどきになって、そいつ殺せない!」


金歯「よせ、その出刃包丁を仕舞え。よせ! よせ! ぎゃー!」


 マルぼんは、ナウマン象と金歯の愛…じゃなくて、友情までガラスのようにしてしまった『物質変換銃』の効果は絶大だと思いました。


ファンファンファンファンファン←回想シーンの終わる音


「なにこれ?」


「おっと。一年ぶりの忍法が自動的に発動してしまったようでござる。これは『忍法自動暗号』。機密事項なんかを、無意識のうちに暗号にしてしまう忍法でござる。上のは、拙者とパパ上どのの癒しの旅の物語を、暗号化したものでござる。癒しの旅の内容が思いつかなかったわけではないでござる。ニンニン」


「思いつかなかっただけだろー」


「ちがうでござる。その証拠に、以下のヒントを使えば、暗号はとけるでござる」


18世紀初頭、ヨーロッパで天才の名をほしいままにした男性画家の名前


「とけるでござる。必ずとけるでござる」


 暗号が解けた人は、西の空に輝く星に向かって「とけたよ、俺…!」と、そっとつぶやいてください。