「いやー全てを思い出したござるよーニンニン」
「一時はどうなることかと思ったよ、よかった。本当によかった」
癒しの旅から帰還した、ツブテと権田哲郎のおとうさん。権田哲郎とおかさんを含めた4人で、食卓を囲んでいます。一連の騒動で思春期らしさをすっかり忘れてしまった権田哲郎は、生まれたての子犬のように素直な気分で
「しかしよくもまぁ、失われた記憶を取り戻せたよね」
と、言っています。
「そうでござるよ、ニンニン。過酷だったけど、充実した旅でござったよ」
ファンファンファンファンファン←回想シーンにはいる音
ナウマン象「ねえ、見てみて! あのお店!」
金歯「ガラスでできた工芸品のお店でおじゃるな」
ナウマン象「ねえ、金歯ぁ」
金歯「見ていくでおじゃるか」
ナウマン象「うれしい!」
ヒロシ「ねえ、彼らはなんで腕など組んで歩いているの? 心から『気持ち悪い』と言いたいんだけど」
マルぼん「友情のなせる技さ。もしくは前世の報い」
ナウマン象「きゃー♪ みてみて、これ! ガラスで作られたウサギさん!」
金歯「ナウマン象みたいにかわいいでおじゃるな」
ナウマン象「もう! やだー! ホントのことばかりいってー!」
金歯「あははははは」
ナウマン象「あたし、このウサギさんほしいー」
店員「あいすいません。こいつは現品限りの品で、お譲りできないのであります」
ナウマン象「ほしいほしいほしいほしい〜!」
金歯「お安い御用でおじゃる。おい、そこのマルぼん」
マルぼん「ガラス工芸品が手に入る機密道具? そんなものはないな。その代わり、これを使ったらどうだろう。『材質変化銃』。この銃で撃たれたものは、材質が変化する。変化する材質は、撃った人が自由に選べるんだ。当然、ガラスにも変化させることができるから、本物のウサギをガラスに変化させればいいんだ」
ナウマン象「きゃっ♪ 素敵な機密道具!」
金歯「なんだ、この機密道具」
ナウマン象「え、素敵な機密道具じゃないの」
金歯「どこがだよ。センス狂っているでおじゃるな」
ナウマン象「うきーなんですって! その口が、私への愛の言葉をつむいだその口が、あたしをバカにするのー!」
ヒロシ「おいおい、2人とも。そんな些細なことでケンカするのはよせよ」
ナウマン象「おどきになって、そいつ殺せない!」
金歯「よせ、その出刃包丁を仕舞え。よせ! よせ! ぎゃー!」
マルぼんは、ナウマン象と金歯の愛…じゃなくて、友情までガラスのようにしてしまった『物質変換銃』の効果は絶大だと思いました。
ファンファンファンファンファン←回想シーンの終わる音
「なにこれ?」
「おっと。一年ぶりの忍法が自動的に発動してしまったようでござる。これは『忍法自動暗号』。機密事項なんかを、無意識のうちに暗号にしてしまう忍法でござる。上のは、拙者とパパ上どのの癒しの旅の物語を、暗号化したものでござる。癒しの旅の内容が思いつかなかったわけではないでござる。ニンニン」
「思いつかなかっただけだろー」
「ちがうでござる。その証拠に、以下のヒントを使えば、暗号はとけるでござる」
18世紀初頭、ヨーロッパで天才の名をほしいままにした男性画家の名前
「とけるでござる。必ずとけるでござる」
暗号が解けた人は、西の空に輝く星に向かって「とけたよ、俺…!」と、そっとつぶやいてください。