仕事が終わり、帰りの電車に乗り込む。
空いている座席があったので座り、文庫本をひろげる。
その瞬間、私の近くから突然、「うっふん。あっはん」と桃色ボイス。
どうも携帯電話の着ボイスらしいんですが、私の携帯にはこんな桃色着ボイスは入っていません。
近くを見てみると、忘れ物らしき携帯電話が。
周囲の人々の目は「こいつ、エロい携帯持ってんな」と語っています。
違うんです。誤解なんです。
このエロ携帯は、僕のものではないんです。
僕はただ「どうすれば楽に暮らせるか」だけをひたすら考えている、ちっぽけな人間なんです。
エロ携帯所持なんていう織田信長みたいに大それた所業、できる人間じゃないのです。
その後、エロ携帯は「切れる→しばらくするとエロボイス発動」を何度か繰り返していました。
私が電車から降りる時、親切な人が「忘れ物ですよ」とエロ携帯を渡してくれました。
私は、エロ携帯を駅の窓口に、そっと放置しました。