・『伝奇城』という伝奇時代小説のアンソロジーを買ったら、荒山徹先生が短編を書き下ろしていて思わずびっくり。


荒山徹先生の作品と言えば、朝鮮への想いが満ち溢れまくっていることで有名ですが、『伝奇城』収録の作品も、やはり朝鮮愛が満載でおもしろかったです。


3つの短編が収録されていたのですが、私が特に気に入ったのが、「黒鍬忍者の密訴」という話。


5代将軍徳川綱吉が、朝鮮にものすごい憧れを抱くようになってしまうんです。朝鮮通信使が来るのを知った綱吉は、その憧れを暴走させ、ついには「科挙を実施する!」「日本を朝鮮にする」とか無茶を言い出します。


「あいつ、マジで日本を朝鮮にしようとしてるぜ。どうするよ?」とこまった老中たちは、伊賀甲賀組の棟梁である小谷権兵衛に相談。権兵衛は、とある一言で綱吉に日本の朝鮮化を断念させます。


その一言が、なるほど納得させられるもので、そりゃあ、綱吉もあんなこと言われたら断念せざるをえないわな、と思わされること請け合い。やっぱり荒山徹先生はおもしろいです。


4月には、新作『柳生雨月抄』が刊行され、旧作の『魔岩伝説』も文庫化されるそうで、今から楽しみです。


高野秀行さんの「ミャンマーの柳生一族」という本を購入。


「なんらかの事情で日本を離れ、ミャンマーに根を下ろした柳生一族(石舟斉の息子あたりの適当な誰か)が現代まで生き残って勢力を拡大して…」みたいな、荒山徹先生の作品のようなストーリーを想像していたんですが、残念ながらそんな話ではなく、ミャンマーの政府とか諜報部を、江戸幕府や柳生一族に見立てて書いた旅の記録みたいな本でした。