・たまーに、いつもと違う時間帯に電車に乗ると、いろいろあります。今日は座席に座って本を読んでいたら、マリーアントワネットみたいなおばさんに、「どけっ」と凄まれました。反応に困っていたら、おばさんは別の人のところへ行き「どけっ」っと、また凄む。そこでも無視され、また別の人に凄む。凄み、凄み、また凄む。とにかく凄む。どうやらそうやって席を譲らせようという算段のようで、心なしか凄まれるのも、僕をはじめとして大人しそうな人ばかり。

 
 しかし誰にも譲ってもらえず、目的の駅に着くまで、おばさんは立ったまま。世界は彼女にやさしくなかった。